名古屋地方裁判所 昭和44年(ワ)2675号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕休業損害
同原告は、本件事故によつてA車が破損したためこれを稼働することが出来ず、昭和四三年二月末日代車を購入するまで三カ月二四日の間A車による収入を得ることができなかつたと主張する。その主張する損失額は金七四万二、五五一円である。
然しながら、A車は関市農業協同組合の所有名義に登録され、同組合の資材、物品等を運送する用に供されていたけれども、その名義は形式上だけのもので、真実は同原告の所有に属しており、同原告は本件事故当時A車を含めて二台の貨物自動車と一台の連絡用乗用車を所有し、それらの自動車の運転手や助手も同原告が自らこれを雇入れてその賃金を支払うばかりでなく、ガソリン代、強制保険の掛金その他の自動車運行に要する一切の経費も同原告が負担しており、組合としては、貨物を運送して貰う度に他の自動車運送業者である岐阜農協運輸株式会社に運送を委託する場合とほぼ同額の運賃を同原告に支払つていたことが認められるから、同原告が本件において休業損害と主張するところのものは自動車運送事業による得べかりし利益の夷失にほかならない。而して、自動車運送事業を経営する者は運輸大臣の免許を受けることを要し(道路運送法第四条)、同原告はこの免許を受けていないのであるから、かかる無免許営業による将来の得べかりし利益を不法行為に因る損害賠償として請求することはできないと解するのが相当である。(当裁判所昭和四三年(ワ)第七八四号、損害賠償請求事件、昭和四五年六月二四日判決、判例タイムズ二五三号二一六頁参照)。この点に関する原告の主張は理由がない。(藤井俊彦)